【症状ナビ】内側上顆炎、ゴルフ肘なら
<つらい肘の痛み、内側上顆炎(ゴルフ肘)>
手首を動かしたときの肘の内側の痛みなら
この内側上顆炎はゴルフ肘とも言われており、タイガーウッズなどの世界トップレベルのゴルフプレーヤーでも発症することがある肘の障害です。内側上顆炎は、ゴルフスイング、野球の投球動作やバッティング、手首や肘を曲げ伸ばしする反復運動による力学的なストレスが原因となって起こります。ソフトボールのピッチャーでも多く発症し、オリンピックや世界大会に参加するチームでも内側上顆炎を患う選手が必ずいるとも言われています。
内側上顆炎の症状は…
- 上腕骨内側上顆(肘の内側の出っ張りのところ)の痛み
- 手首を手のひら側に曲げて力に抵抗すると痛みを感じる
- 手首を手のひらと逆側に伸ばすと痛みを感じる
- 物をもったり、握力を使うと痛みを感じる
- 腕を強く振ると痛みを感じるなどです
内側上顆炎 <施術の流れ>
- 手首、腕、肘、肩のリンパ血行促進:LLLT(近赤外線光線療法)
- 手首、肘関節、肩関節、肩甲骨の関節アジャストメント
- 背骨の機能改善(頚椎、胸椎、腰椎、骨盤のゆがみ矯正)
- 手関節屈筋腱の癒着、筋肉組織のリリース(IASTM、Percussorなど)
- 徒手による筋力、筋機能のリハビリ(PNF、METなど)
- リハビリツールを用いた手や肘の筋力強化(セラバンド、フレックスバー、ハンドグリップなど)
- 肘関節と手首のテーピングやサポーター固定
ゴルフスイング、野球の投球動作による障害の場合、検査では運動のフォームを確認します。
スポーツに加えて日常生活やお仕事中の手の動きのクセなど、動作と姿勢の特徴を確認しながら評価を行うことで、痛みの原因をしっかり探ることができます。
施術については実際に重力をかけた状態で痛みや障害が再現される形をとったり、スポーツ動作中の形を再現して施術すること(関節の矯正、筋肉トリートメントなど)でより大きな回復が期待できます。
内側上顆炎と似た症状を示す障害
- 頚椎の神経根症状(頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症、変形性頚椎症)
- 肘関節の不安定性
- 内側側副靭帯の損傷、断裂
- 円回内筋のトリガーポイント
- 肘頭滑液包炎
- 離断性骨軟骨炎(OCD)、関節ねずみ
- 上腕骨骨折、関節炎
- 尺骨神経痛
- 野球肘、投球のコッキング障害
<内側上顆炎の治療> 海外の研究データ
J Clin Laser Med Surg. 1998 Jun
Z Simunovic
内側上顆炎と外側上顆炎の治療法の中で、近赤外線光線療法(LLLT)が非常に成功した事例として報告されています。
内側上顆炎(ゴルフ肘の患者50人)、外側上顆炎(テニス肘の患者274人)のいずれかを伴う対象者(324人)に対し、830nmもしくは904nmのLLLTを用いた。患部周辺のトリガーポイントへLLLT照射を行ったところ、急性の症例の82%と慢性の症例の66%で痛みや握力などの機能に改善が見られた。
J Chiropr Med 2014
Chiropractic treatment of lateral epicondylitis: a case report utilizing active release techniques
Jordan A Gliedt
48歳男性が2年前に発症した左肘の痛みを訴えてカイロプラクティッククリニックに来院。痛みのためにゴルフの18ホールをプレーすることができないこと訴えていた。3週間にわたるカイロプラクティックケア(筋肉、筋膜、腱、靭帯、および神経機能を改善する軟組織テクニック)を実施したところ、肘の痛みと機能が回復し、4週間~8週間後には週に3回のゴルフプレー(18ホール)ができるようになった。
肘関節の解剖学
肘関節は以下の3つの骨からなる複合関節。
→上腕骨・尺骨・橈骨
- 上腕骨:外側および内側上顆、上腕骨小頭、上腕骨滑車、鉤突窩、肘頭窩
- 橈骨:橈骨頭、橈骨粗面、橈骨頚
- 尺骨:肘頭、肘頭粗面、滑車切痕、鉤状突起、橈骨切痕
などが肘の骨構造に関わっている。
これら3つの骨によって、以下の関節がつくられ、関節包・靱帯・筋によって肘全体が安定化されている。
- 腕尺関節:肘の曲げ伸ばし動作に関わる
- 腕橈関節:すべての方向の動作に関わる
- 橈尺関節:前腕の回内・回外動作に関わる(手のひらを反す動き)
肘を支える2つの靱帯 → 内側・外側側副靱帯、橈骨輪状靱帯
橈骨輪状靱帯は橈骨頭を取り巻き、尺骨との接触を維持する。橈骨頭は尺骨・上腕骨・橈骨輪状靱帯と1つの関節面をつくる。
内側・外側側副靱帯は肘の関節包および橈骨輪状靱帯を補強しながら安定性を担う。
肘にある筋肉
筋肉については、尺側手根屈筋は肘を横切って内側上顆に付着し、橈側手根伸筋は肘を横切って外側上顆に付着している。これらの腱は側副靱帯の線維に混じりこんでおり、肘の安定化と共にその運動を行う。外側上顆炎(テニス肘)、内側上顆炎(ゴルフ肘)はこの部分の筋肉の炎症や障害。
肘の運動に関わる筋
- 回内位での屈曲:上腕筋
- 回外位での屈曲:上腕二頭筋
- すばやい屈曲または中間位での屈曲:腕橈骨筋
- 伸展:上腕三頭筋および肘筋
- 回外:回外筋および上腕二頭筋
- 回内:方形回内筋
- すばやい回内または荷重状態での回内:円回内筋
- ある程度の屈曲:手根伸筋
- ある程度の伸展:手根屈筋
肘の磨耗を減らすために、皮膚と肘頭突起の間に肘頭皮下滑液包があり、二頭筋の腱と橈骨の間には二頭筋橈骨滑液包がある。滑液包は関節や骨のまわりで摩擦を軽減するクッションの役割で、スポーツや反復作業などで炎症を起こすと肘の痛みの原因となる。
肘関節を通る神経と動脈
橈骨神経・尺骨神経・正中神経・筋皮神経、上腕動脈の枝である橈骨動脈および尺骨動脈。肘の障害の回復にはこれらの通り道となる肩甲骨、肩関節、頚椎などのゆがみを整え、可動域の回復を促すことが大事。
内側上顆炎の施術プラン
- 急性期:じっとしていても肘まわりに痛みのある時期。発症~数日間。運動の種類や負荷の度合いなど発症のきっかけにもよりますが、炎症がおこる期間はごくわずかです。一時的にアイシングを行うことで緩和を促す効果が期待できます。サンスマイル八王子では、急性期のアプローチとしてRumix2による近赤外線光線療法を取り入れています。
- 亜急性期:手首や肘の動作時に痛みがある時期。発症から数日~2週間程度。特に手首を返す動きで痛みを感じる。握力が低下したり、手の不自由さを感じることもある。カイロプラクティックの関節アジャストメントやIASTMツールに筋膜リリースを積極的に行うことで回復を促す効果が期待できます。
- 慢性期:限局された動作での痛みを感じる時期。発症から数週間~数カ月が経過し、痛みをかばった動作で二次的に首や肩の痛みやコリなどを伴うことが多いです。温熱で一時的に楽になることもあありますが、肘や手首の動きが徐々に悪化してくるため、運動神経の働きをリセットすることが必要となります。セルフストレッチだけでは、柔軟性がなかなか回復しないため、カイロプラクティックの関節矯正、靭帯や関節包などへの積極的なアプローチを行うことをお勧めします。
内側上顆炎のケア<回数の目安>:平均的な回復力を基準にしています。
- 急性期~亜急性期:3回位/週の頻度で3~4回の施術で痛みを解消。関節の動きと腕と手首の筋力回復について、1~2回/週の頻度で3~4回の施術。平均的には合計6~8回程度で解決できます。
- 慢性期:3回位/週の頻度で3~4回の施術で痛みを軽減。関節の柔軟性、筋力の回復について、1~2回/週の頻度で3~4回の施術。上肢、下肢、背骨を含めた運動連鎖の正常化(スポーツフォーム、姿勢、動作を正しく身につけること)について、1回/週の頻度で3~4回の施術。平均的には合計9~12回程度が目安となります。
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