【症状ナビ】副腎疲労症候群:Adrenal Fatigue
<副腎疲労症候群>
とにかく疲れやすい、寝ても疲れがとれないなど
そんな症状は副腎疲労症候群(アドレナル・ファティーグ)が原因かもしれません
副腎は身体の恒常性を保つために広範囲に作用するホルモンを分泌しており、特に心と体がストレスを受けたとき、それに反応して働く内分泌臓器です。コルチゾールなど、副腎のホルモンは別名ストレスホルモンとも言われています。
何かとストレスの多い生活を送る現代では、この副腎が慢性的な負荷を受けて臓器が疲労し、内分泌線の機能を崩すことがあります。副腎のホルモン分泌量が低下したり、ホルモンの作用が弱まることで、脳や身体全体に大きな影響が生じ、疲れ、慢性痛、血圧・脈拍・体温の低下、意欲の低下など様々な全身症状を起こすことがあります。
2020年の新型コロナウィルス発生とその後のパンデミックによるライフスタイルの変化とストレスの増加で、当院には副腎疲労の兆候を示す患者様が非常に多くご来院されています。新型コロナのパンデミックによる緊急事態宣言やまん延防止処置の実施で、テレワークや在宅ワークが増えたことから、運動不足・昼夜の逆転・睡眠障害などを起こす方が多くなっています。
何となくいつも疲れている、寝ても身体がすっきりしない、怪我や痛みの回復が遅い、関節や筋肉を頻繁に痛める、朝ベッドから起きるのがつらい、風邪を引きやすいなどの方は、副腎機能をしっかり整えて体質を改善することが必要かもしれません。
副腎はストレスに対処する臓器
副腎はみぞおちの高さにあり、腎臓の上端にかぶさるように付着する左右一対の臓器です。重さ7~8gの三角形で扁平な分泌腺で、副腎髄質と副腎皮質に分かれてそれぞれ作用の異なるホルモンを分泌しています。
副腎の中心部分は副腎髄質で、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどのカテコールアミンを分泌しています。副腎の表層は副腎皮質で、コルチゾールやコルチコステロンなどの糖質コルチコイド、アルドステロンなどの電解質コルチコイド、副腎アンドロジェンが分泌されます。
これらのホルモンは心や身体にストレス反応が起きたときに分泌され、血糖値、血圧、脈拍、情動、ミネラル代謝、代謝などをコントロールすることが主な役割となっています。
副腎に明らかな病的疾患が見つからないケースでも、副腎の機能障害に関わる徴候が観察された場合には、副腎機能低下や機能亢進を疑う必要があります。副腎疲労症候群をはじめとする副腎機能の障害は、病院での検査で陽性が検出される可能性が低く、機能的な問題によってトラブルが生じていることがあります。
腰痛や頚部痛を何度も繰り返している、慢性的な痛みがある、疲れやすい、原因不明の頭痛やめまい、夜中に目が冴える、月経前症候群(PMS)、アレルギー、やる気が起きない、性欲の低下、朝起きるのがつらいなどは、副腎の機能障害に起因しているかもしれません。
副腎疲労症候群の方に多い症状
- 朝起きることがつらい
- 寝ても疲れが取れない、朝から疲れている
- 軽度のうつ症状
- 些細なことで疲れてしまう
- 午前中は目が覚めない
- めまい、クラクラが頻繁におこる
- 頭痛、耳鳴、難聴を感じる
- 花粉症など、各種のアレルギー症状
- 倦怠感、エネルギーの不足を感じる
- 他の病気や疾患がなかなか良くならない
- 炎症や痛みの回復に時間がかかる
- 風邪を引きやすい、風邪が長引く
- 怪我(骨折、捻挫、肉離れなど)の回復が遅い、治癒力が低下している
- 低血圧、低体温、脈拍が低下
- 冷え性、むくみやすい
- ボーっとしやすい、頭がさえないことが多い
- カフェイン、アルコールの欲求
- 糖分、甘い物の欲求
- 夕方になると元気になり、夜中に目が冴えてくる
- 夜に寝れない、不眠
- 記憶があやふや
- 性欲の低下、不妊体質(男女共に)
- 月経前症候群(PMS)、生理痛が強い
*こちらの項目が複数当てはまる方は、副腎疲労の可能性が高くなります。
副腎髄質ホルモンの作用
アドレナリン・ノルアドレナリンの働き
- 血液循環の促進:血圧や脈拍を上昇させて、末梢組織に巡る血液量を増やそうとします。
- 血糖値の上昇:肝臓でグリコーゲンの分解を促し、血糖値を上昇させます。機能性低血糖症など、炭水化物と糖質の摂取が多く、血糖値の乱高下が起きる方では、食後3~4時間後にこの作用が強く働いていることが予測できます。副腎疲労の方の多くが低血糖症の疑いがあります。
- 遊離脂肪酸の増加:脂肪の分解を促します。
- 代謝の促進:組織の酸素消費と代謝を活発にし、熱産生を促します。アドレナリンが分泌されると筋肉の代謝が上昇し、体温が上がり、活動に適した状態になります。
- 平滑筋の抑制:胃腸運動など消化器官の働きが抑制されます。興奮状態にあると口が渇いたり、食欲を感じなくなるのはそのためです。
アドレナリン・ノルアドレナリンなど、副腎髄質から分泌されるホルモンは、交感神経の働きによってコントロールされています。血糖低下時、激しい運動をしたとき、寒冷時、脳の興奮状態、ストレスを受けた時など、交感神経の働きが亢進すると、アドレナリン・ノルアドレナリンの分泌が急激に上昇します。
活動、闘争、防衛など適した身体状態をつくるのが、副腎髄質ホルモンの作用です。休息時や睡眠時は、交感神経の働きが抑制され、これらのホルモン分泌も低下します。
日常的にストレスを受けていると、体のコントロールを乱す交感神経の過活動が生じ、うまく体を休めることができない、動悸がする、血圧が上がり易い、消化機能が働かない(下痢、便秘、胃痛)などの不調を起こす体質変化を生じるのはこの副腎髄質ホルモンの作用が関わっています。副腎髄質癌の一つである褐色細胞腫が発生すると、ホルモン分泌が過剰になり、頭痛、高血圧、動悸、発汗、嘔吐などを起こすことが知られています。
副腎皮質ホルモンの作用
- 糖代謝の調節⇒ コルチゾールやコルチコステロンなどの糖質コルチコイド
- 電解質の調節⇒ アルドステロンなどの電解質コルチコイド
- 男性ホルモンの作用⇒ 副腎アンドロジェン
糖質コルチコイドの作用(コルチゾール、コルチコステロン)
- 細胞内の代謝促進:肝臓の糖新生による血糖値の上昇、タンパク質と脂肪の分解促進を行います。組織に必要となるエネルギーをつくり出すために代謝を促進します。
- 抗炎症・抗アレルギー作用:炎症やアレルギー症状を抑制します。アトピー性皮膚炎、喘息、関節リウマチなどの免疫疾患では、ステロイド薬が処方されます。ステロイド薬はこの糖質コルチコイドの抗炎症・抗アレルギー作用によるものです。
- 胃の働き抑制:胃酸の分泌を促し、粘液分泌を抑制するため、糖質コルチコイドが長期にわたって分泌されることで胃潰瘍を起こしやすくなる。ストレスを強く受けると胃が痛くなったり、消化が悪くなるのはこの作用に影響されています。
- 糖質コルチコイドは、様々なストレス刺激に対する抵抗力を高める作用を発揮しています。このホルモンが日常的に過剰に分泌され続けたり、ステロイド薬を長期間使用することは、免疫機能の低下、血糖値の上昇、脳の過活動などを起こすことにつながります。
電解質コルチコイドの作用(アルドステロン)
- 腎臓に作用し、Na+(ナトリウム)の再吸収とK+(カリウム)の排泄を促します。
- Na+(ナトリウム)の再吸収と同時に水分の再吸収も促しています。
副腎アンドロジェンの作用
- DHEA(デヒドロエピアンドロジェン)は、体を男性化する作用を持っているが、ホルモンの作用としては精巣のホルモン(アンドロジェン、テストステロン)ほど活性は大きくない。

副腎機能の日内変動(サーカディアンリズム)
人間の活動リズムはおよそ24時間周期で、体の中には生理機能のリズムをつくる時計のようなもの(体内時計)が生まれながらに備わっています。哺乳動物では体内時計が視床下部にあり、副腎、甲状腺、松果体といった内分泌線の働きにも日内での変化を与えています。
睡眠と覚醒のリズムは、視床下部と脳幹網様体がつくる神経ネットワークによる調節が重要で、これが自律神経や内分泌機能の日内リズムを調節しています。覚醒時には体温、血圧、脈拍が高まり、活動に適した状態となり、睡眠時には身体を休めて次の活動に備えるように無意識の調節がなされています。日中には交感神経と連動して副腎の働きが高まり、夜間には副交感神経の働きが優位になる傾向があります。
徹夜、夜勤勤務、飛行機の移動による時差などはこのサーカディアンリズムを崩し、それが自律神経の乱れと内分泌機能異常の原因となり、様々な体調変化を生むと考えられています。また、夜遅くに食事を摂ると日内リズムに逆らう形で、深夜にコルチゾールの分泌が高まり、胃の消化や血糖コントロールに関わる疲労が起きることがあります。不規則な食事時間による血糖値の変化が副腎に予期せぬ負荷をかけているのです。
サーカディアンリズム(慨日リズム)とは
概日リズムとは、約25時間周期で変動する生理現象で、動物、植物、菌類などほとんどすべての生物に存在している。一般的に体内時計とも言う。
「縮日リズム」は1時間より長く24時間より短い周期で、「概日リズム」は24時間周期。「長日リズム」は24時間より長い周期を示す。
体内時計を調節する時計遺伝子を発見したアメリカ人3人が2017年のノーベル医学生理学賞を受賞した。
完全に外界から隔離した部屋で過ごすという実験を行い、外界の時間を知らせる手がかりがない状態を人工的に作りデータを観測した。結果、一日の周期が通常の昼夜周期と比べて、おおむねやや延長し、25時間周期にずれていった。これらの研究から人間の内因性周期は25時間になっているが通常は昼夜周期に同調していることがわかった。外界の昼夜周期にふたたび戻すと、睡眠覚醒サイクルは速やかに回復した。これとは別に視床下部の視交叉上核を破壊すると慨日リズムが完全になくなるという実験結果もある。
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副腎ホルモンの分泌変化
唾液コルチゾール:コルチゾールの計測で最も一般的な方法は、唾液中のコルチゾール濃度の検出です。一日に4回以上(目覚めたとき、正午、夕方、就寝前など)唾液を採取し、日内変動の変化を捉えることで、副腎機能の評価を行う目安となります。
副腎皮質ホルモンの日内変動としては、コルチゾールの値は朝をピークにして上昇し、夕方にかけて下降し、深夜には分泌が最も少なくなります。これとは逆に睡眠導入と睡眠の質に関わるホルモン・メラトニンの分泌量は、活動する日中に下降し、夜間睡眠中に最も上昇します。
参考文献:
Int. J. Mol. Sci. 2016, 17(5), 623
Peripheral Skin Temperature and Circadian Biological Clock in Shift Nurses after a Day off
副腎疲労症候群(Adrenal Fatigue)とは
副腎の疲れによって様々な全身症状と機能異常を生じることを示し、副腎ストレス障害とも言われます。1つのホルモンの生産量が増加し、その他1つ以上のホルモン生産量が低下します。
- 電解質コルチコイドの作用低下:ナトリウム・カリウムなどミネラルバランスの異常による浮腫(むくみ)、体内pHの変化を生じます。
- 糖質コルチコイドの作用低下:血糖値調節の回復不能と遅延、血糖値の低下に起因する炭水化物・糖質への強い欲求が起こります。インスリンの過剰分泌による過剰なフィードバックで副腎皮質刺激ホルモンの分泌を促し、血糖値調節のさらなる混乱を招きます。
- 性ホルモンの作用低下:DHEA(テストステロン、エストロゲン)の分泌低下、副腎皮質刺激ホルモンの過剰分泌による性腺刺激ホルモンの分泌低下で、無月経・母乳量低下・不妊などの問題を生じる可能性があります。
副腎のホルモンの疾患
- 副腎皮質機能低下:アジソン病は、糖質および電解質コルチコイドの分泌低下により起こる疾患で、色素の沈着、低血圧、低血糖、心筋委縮、Na+の過剰排泄、K+の過剰吸収などが診られます。
- 副腎機能亢進:クッシング症候群は、糖質コルチコイドの過剰分泌によって起こり、フルムーンフェイス、体幹部分の肥満、タンパク量の減少、高血糖、高血圧、頻脈、情緒の乱れなどが診られます。
副腎疲労対策のための必要栄養素
ビタミンC:
体内で最もビタミンC濃度が高いのは副腎です。ホルモンの合成促進、活性酸素を除去する抗酸化作用を担っています。副腎には血中濃度の150倍ものビタミンCが含まれています。ストレスを強く受けているとき、怪我をしているとき、風邪などの感染症発症時、花粉症シーズンなどアレルギーのあるときには、ビタミンCの消費が激しくなり、さらに必要量が高くなります。
ビタミンE:
ビタミンCと共に体内の活性酸素の働きを押さえる抗酸化物質です。ビタミンCの活性化にはビタミンEの働きが必須となります。
ビタミンB群:
副腎内のコルチゾール産生、代謝によるエネルギー産生の際にビタミンB群が必要となります。血糖のコントロール、脳神経細胞の機能向上にも役立ちます。
摂るべき食べ物
塩分⇒ 天然の藻塩。高血圧の方は注意してください。野菜に振りかけるなど。
タンパク質⇒ pH濃度の調整機能、卵、肉、魚、大豆製品を摂る。体重50kgで必要となるタンパク質量は50g/日(牛ステーキで約500g、卵で6~8個、シャケの切り身で4~6切れ、豆腐8~10丁)。
良質な脂質⇒ ホルモンや細胞膜の原材料となる。血糖値が緩やかに上がってから下がるため(約8時間作用する)、低血糖症の場合には、ココナッツオイルやMCT(中鎖脂肪酸)を朝食と一緒に摂ると良い。調理用にはエキストラバージンのオリーブオイル、生食にはアマニ油など。
野菜⇒ 8~10人前/1日。生野菜ではなく、温野菜やスープなど火を通した野菜が良い。
控えるべき食べ物
血糖値を急上昇させる炭水化物、糖質が多い食品。特に麺類、パン、お菓子など白い粉でできているものは要注意。小麦製品は砂糖を食べるよりも血糖値が上がりやすいと言われています。慢性副腎の方では、はじめは緩やかな糖質制限から始めて、徐々にタンパク質や脂質中心の食事に変えていくことで心身の変化を実感していただけます。
サンスマイル八王子では、カイロプラクティックの施術による副腎機能の回復、栄養療法による食事栄養指導、運動療法の指導などで総合的な体質改善をお手伝いいたします。慢性疲労、慢性副腎疲労の疑われる方はお気軽にお問い合わせください。
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