【野球肩の症例】肩甲骨後面の痛み、回旋筋腱板のオーバーユース
野球肩の症例
腕を振り切った後に右肩が痛い
棘下筋の過剰使用症候群
30代男性 会社員 立川市在住
【初回時の訴えとお悩み】
- 2年程前から野球のスローイングをすると時々右肩に痛みがあった
- それがここ半年、塁間を投げるだけでも毎回右肩後面に痛みが走るようになった
- 日常では肩の痛みはないが肩まわりは凄く固い感じがする
- 高校まで野球部に所属。そこから野球はしていなかったが社会人になって週に1回野球をするようになった
- ポジションはショートとセンターを守っている
- これから野球シーズンなのでしっかりと野球肩を良くしたい
【問診と検査】
- 送球動作:右腕を上げると肩甲骨が挙上
- 関節検査:右肩関節、右肘関節、胸椎、仙腸関節、足関節の可動性制限
- 筋肉検査:右中・下部僧帽筋の筋力低下、右上部僧帽筋、上腕二頭筋の過緊張、オーバーユースによる右棘下筋の短縮
- ランジテスト:左股関節の不安定性(中殿筋の弱化)、左足の内側縦アーチの低下
【施術】
- 肩、肘、背骨と骨盤の歪みを矯正
- 右棘下筋の硬結を押圧、上腕二頭筋を筋膜リリース
- 左中殿筋を強くするように筋紡錘を刺激、左回内足の矯正
- 中殿筋エクササイズと足の内側縦アーチの体操をアドバイス
【施術のご感想】
- 1ヵ月で肩の痛みが解消すると思っていなかったので驚きました
- 痛みで塁間を投げるのもつらかったのに、今では膝立ちの状態で塁間を投げられるようになりました。ここまで楽に投げられるのは高校の時以来で、凄く野球が楽しめています
【担当コメント】
野球のスローイングをした時の肩の痛みを訴えて来院されました。
腕を振り切った後のフォロースルー期における野球肩の原因の多くは、腕の最大外旋位から最大内旋位への動きが制限されていることです。
腕を最大外旋するためには胸椎や肩甲骨の内側に寄せる動きが必要になります。この動きに制限があると肩関節を肩甲骨の変わりに過剰に動かす必要がでてきます。その時に使われるのが三角筋後部繊維と回旋筋腱板と呼ばれる肩甲骨後面に付着する筋肉です。
三角筋や棘下筋が過剰に使われる(オーバーユース)と筋肉だけではなく、肩の後方関節包も短縮を起こし、フォロースルー期の腕の内旋を妨げてしまいます。これが野球肩の痛みを引き起こす原因となっていたと考えられます。スポーツ時のフォロースルー障害としては、野球の投球、バレーボールのサーブやアタック、バトミントンのスマッシュ、テニスのサーブなどが起こりやすく、当院でも過去にいくつもの症例を経験しています。

カイロプラクティックの施術はまず肩甲骨を内側に寄せる背筋群の働きを改善するために胸椎や腰部、骨盤の歪みを矯正し、背筋群がうまく使えてきた後は、肩や肘、手首を矯正することで背中と腕の連動性も高めていきました。うつ伏せや座った状態で胸椎~上肢の動きが改善された後は、立った状態で肩周りがうまく使えているかを評価していきます。
ランジ姿勢のように足を前後に開いた体勢で肩の動きを評価すると、左足に過重が掛かった時に足の内側縦アーチが崩れ、左側の股関節がグラグラと不安定になることで、右肩の動きを妨げていました。左足のアーチが下がるとボールリリース時に体が開きやすく、腕を力強く振ることが難しくなります。そのため、左足の歪みと左中殿筋の筋力低下を改善するように施術を加え、自宅でも足腰を強化するエクササイズを行って頂きました。
6回の施術を行い、立った状態で肩の動きが改善してくると、塁間を痛みなく投げられるようになりました。10回の施術時には遠投もできるようになって、楽しく野球ができているとお話を聞いています。野球肩でお困りの方の多くは身体の使い方にも強い癖がみられます。痛みが改善しても肩の使い方が悪いと再発につながりますので、肩の負担が少ない投げ方や身体の動かし方も覚えて頂くことをお勧めしています。
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